カラクリのこと

発足の思い

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がんをはじめとする働く世代のサバイバー(※)の社会への関わりが大きな課題となっています。働く世代の罹患による社会的損失は非常に大きく、がんの罹患による労働力の喪失だけでも年に1.8兆円にも上ります。また一方でがんの種類にもよりますが、医学の進歩とともに、大きな疾患、障がいを経験しながらも、長期生存するサバイバーが増えています。

しかしながら、働く世代のサバイバーは地域コミュニティにおけるサポートへの参画の機会が少なく、社会との距離が遠くなりがちです。平成24年に見直された、国のがん対策基本計画においても、新たに「働く世代や小児がん対策の充実」が重点課題に加えられており、地域社会では喫緊にその対応が求められています。

実際、働く世代のサバイバーは若い世代特有の経験や苦悩を抱えています。私も自身のがん闘病経験や、様々な若いサバイバーとの出会いの中で実感しました。彼らはがんになったことで多くのものをあきらめ、失っています。体の一部や機能は元より、仕事、恋愛、結婚、子ども(妊孕性)、自身の命―それらは当たり前の日常と、当たり前に手に入るはずだった未来。病気によって、人生の景色は大きく変わってしまった。でも周囲に自分たちの苦しみを理解してはもらえない。孤独と不安の中で、自らの価値を見失いそうになる―

 

しかし、そのような辛さを抱えた自分達だからこそできることがあるのではないか。この経験を価値に換えて、よりよい社会を創れるのではないか。社会を変えたければまず自分たちが一歩踏み出し、何かを生み出そう。大切なものを失い、あきらめなければならなかったからこそ、未来のために―そんな強い思いが集い、サバイバー「だからこそ」の視点から新しい価値を生み出すプロジェクト『ダカラコソクリエイト』(略してカラクリ)をスタートさせることになりました。

現在、我が国では超高齢化、少子化、人口減少、価値観の多様化等、社会構造が大きく変化し、単なる弱者に優しい福祉的な社会ではなく、年齢、性別、病気、障がいを超え、真の意味で誰もが生き生きと暮らせる社会が求められています。その実現に欠かせない、欠かしてはならないのが「当事者の視点」です。

本プロジェクトでは、当事者の視点を価値に換えて、社会に活かす、また、その仕組みを確立していくことで社会課題の解決にひとつの新しい切り口と具体的な形を示していければと考えています。

何卒ご理解とご支援の程よろしくお願い申し上げます。

 

創ろう、何かを生み出そう
大切な人たちが生きる未来のために
それが私たちの救いになると信じて

発起人 谷島 雄一郎